イスラエルの細胞水産スタートアップ、初の試食会でセルベースうなぎの消費者支持を獲得
細胞性食品スタートアップのForsea Foods Ltd.(フォーシーフーズ、本社:イスラエルレホボト、以下Forsea)は、6月4日、テルアビブの高級レストラン「a (https://www.arestaurant.co.il/) 」で、初の公式試食会を行いました。同社の培養うなぎを提供するこの試食会には、投資家、ジャーナリスト、食品業界の主要意見リーダー、日本大使館の代表やイスラエルに拠点を置く日本の食品会社の代表を含む40人のゲストを迎えました。
メニューには、香り高いご飯の上に、グリルされた新鮮な培養うなぎをのせたかば焼きを含む3つの料理が登場しました.
Forseaはウナギをはじめとする絶滅の危機に瀕した種を救う使命を持っており、オルガノイド技術(※)を適用して、魚の組織を元の水生環境外で細胞培養により生み出す新しいアプローチを開発しました。
※オルガノイド技術:幹細胞を特別な環境で育てて、小さな臓器や組織のような構造を作り出す技術です。
◆業界のボトルネックを、技術で解決する
Forseaの特許化された方法は、魚の細胞が自発的に脂肪、筋肉、結合組織の自然な構成を持つ三次元組織構造に自己組織化するものです。生きた魚の中で自然に成長するプロセスを模倣することを目指しており、より自然に近い状態で細胞性食品を生産することが可能になります。
Forseaの細胞培養法のさらなる利点として、スキャフォールド(足場)段階を省略し、高価な成長因子への依存を大幅に減らすことが挙げられます。これにより、製造工程のスケーラビリティが向上し、商業的な実現可能性と、従来の養殖うなぎと同等の価格競争力を持つことができます。
野生のウナギは乱獲による深刻な供給不足に直面しているのもかかわらず、その完全養殖は依然として難しく、飼育下でのうなぎの繁殖はまだ達成されていません。 この供給不足は、うなぎに対する需要が日本国内だけでなく、アジア、アメリカ、ヨーロッパでも急増する中で発生しています。その結果、淡水ウナギの卸売価格は1キロあたり最大60米ドルに急上昇しています。
「Forsea独自のオルガノイド技術は、培養肉を消費者の食卓に届ける際の業界の多くのボトルネックを克服する可能性を秘めています」とForseaのCEO兼共同創設者であるロイ・ニアー(Roee Nir)氏は述べています。
「今年の初めから、我々は細胞株の改良において大きな進展を遂げてきたほか、レシピの改善にも熱心に取り組んできました。このイベントは、我々の前例のない成果をパートナーや業界関係者に紹介する素晴らしい機会となりました」(ニアー氏)
クローズドの試食イベントでは、ゲストがForseaの培養うなぎのフィレを初めて味わいました。伝統的なうなぎの風味と滑らかで柔らかい食感を再現しています。
◆天然ウナギよりも、サステナブルで安心
培養うなぎは、汚染物質(例えば水銀)、工業化学物質、マイクロプラスチックを含まないことも特徴であり、持続可能で、水生環境とその生物を保護する助けになります。
テルアビブにある五行思想をテーマにしたレストラン「Taizu」のオーナーであり、アジア料理のスペシャリストである著名なイスラエルのグルメシェフ、ユバル・ベン・ネリア 氏(Yuval Ben Neriah)が、日本料理の本格的な風味と感覚的な特徴を捉えるための最終調整に重要な役割を果たしました。
「多くの年数をかけてアジア料理で食通を魅了してきたシェフとして、このForseaとのプロジェクトは特に興奮しています。なぜなら、これが未来の食材と細胞性シーフードの世界への私の初めての挑戦であり、その持続可能性のメッセージが響くからです」とレストラン「a」のシェフ、ベン・ネリア氏は述べています。「ダイナーからのフィードバックは非常に励みになりました。何人かのゲストは、事前に説明されなければこのうなぎが細胞培養であると思わなかったと述べていました」(ベン・ネリア氏)
東京でヴィーガンレストラン「SAIDO」を立ち上げたエグゼクティブシェフ楠本勝三氏も、Forseaのうなぎ料理の味の向上に大きく貢献しています。ヴィーガンうなぎは、楠本シェフの長年の看板メニューです。
Forseaは、2026年までにデビュー製品の商業展開を目指しており、現在、日本の戦略的パートナーと連携を深めています。
駐日イスラエル大使であるギラッド・コーヘン氏(Gilad Cohen)は、Forseaを激励するコメントを残しました。「Forseaは、既成概念にとらわれない発想で、培養肉業界を変革しています。彼らの焦点は細胞水産物にあり、その革新的な製品を日本に導入する計画は、同社をユニークな存在にしています。日本料理は世界的に人気があり、高く評価されているため、Forseaの使命は非常にエキサイティングです」(ギラッド氏)
在イスラエル日本大使館公使の高橋誠一郎氏 は、Forseaの成果を祝福しました。「ウナギという絶滅危惧種でありながら、日本やアジアの食事に欠かせない存在を選んでいただいたことに感謝します。私たち日本人は5000年以上にわたりウナギを食べてきましたが、ウナギを生産することは決して容易ではありません。だからこそ、細胞培養でつくるセルベースうなぎの実現は、大きな企業努力の成果であると信じています」(高橋氏)
在イスラエル日本大使館公使の高橋誠一郎氏
Photographer/ Liran Maimon
◆Forseaについて
Forseaは、バイオテクノロジーエンジニアであるロイ・ニアー(Roee Nir)、モリア・シモニ博士(Moria Shimoni)、イフタフ・ナフマン博士(Iftach Nachman)、およびヤニブ・エルコビー博士(Yaniv Elkouby)が、イスラエルの政府系機関であるイスラエル・イノベーション庁(Israel Innovation Authority)および、インキュベーターのThe Kitchen Hub のバックアップにより設立されました。その他の出資元としてTarget Global、PeakBridge VC、Future Food Fund、Zora Ventures、FoodHack、およびM&H Venturesからのシード資金を獲得しています。Forseaのオルガノイドアプローチは、魚の細胞が自然な脂肪と筋肉の組成を持つ三次元組織構造を自発的に形成する理想的な環境を作り出し、従来よりもさらに自然に即したアプローチだと注目されています。
会社名 : Forsea Foods, Ltd.(フォーシーフーズ)
本社 : Rehovot, Israel
代表者 : 代表取締役CEO 兼 創業者 ロイ・ニアー(Roee Nir)
設立日 : 2021年10月
ウェブサイト: www.forseafoods.com
Email : info@forseafoods.com