■実施概要
◆概要
本サービスは環境問題への取り組みと食を起点とした地域活性化を継続するために開発された食料生産システムの取り組みのひとつです。
生ゴミを再資源化して新たな野菜を生産する「都市型アクアポニックス農法」をウチンクに設置し、シェフの好みに合わせた鮮度の高い野菜をお客様にメニューとして提供します。
このシステムが都市や観光地域に普及することで、これまでは焼却に頼っていた生ごみの処理と、CO2削減に貢献が可能です。
◆目的
- 飲食店から出る生ゴミの再生と野菜の栽培・提供
- Farm To Tableの実現
◆本施策により期待している成果
駐車場1台分のスペースにアクアポニックス設備を導入することにより
①野菜の栽培
・飲食店に出せる新鮮で品質の高い野菜の生産
・飲食店のメニューとして必要とされる量の野菜の生産
②生ゴミの削減
・飲食店では1日あたり2~3kgの生ゴミが発生しているが、この設備を導入することで生ゴミをすべて堆肥化させると月間80㎏の生ゴミ削減ができる
■都市型アクアポニックス農法について
オフィス街や飲食店など商業施設、住宅街や公園のほか地域の観光地といった野菜の消費地となる場所に設置運用することを想定し、開発されたアクアポニックス設備です。これにより都市のニーズにあった野菜を化学肥料を使用せずに有機的な栽培方法で生産し、新鮮な状態で消費者に提供することが可能です。
◆特徴
◎アクアポニックスとは
アクアポニックスとは水産養殖と水耕栽培を組合わせた食料生産の技術です。
魚の排泄物を微生物によって栄養豊富な天然の肥料に変換し、植物に必要な栄養を提供、植物は魚の水を浄化するため、水をリサイクルしながら魚と野菜を一緒に育てることができます。生き物の力を生かし化学肥料に頼らない野菜を提供することが可能です。
▼実際に都市型アクアポニックス農法で生産された野菜
◎駐車場1台分のスペースに設置可能
都市型アクアポニックスは立体型の栽培装置をアクアポニックスに組込み、駐車場1台分程のスペースで毎月最大、葉物野菜を1000株程度収穫することを可能としています。
◎ニーズに合った野菜の栽培
実証実験において60種類を超える野菜の栽培を実施しました。野菜は葉物やハーブ類だけでなく、スイカやメロンなど実をつける野菜、ビーツやウコンなど根菜類も生産が可能であることも確認しました。
◎環境情報を用いた栽培の最適化
クラウド型のモニタリングシステムを搭載しており、運用者はスマホやPCから都市アクアポニックスの環境を把握することができます。また換気設備とも連携し、温室の環境制御を自動で行っていきます。
■生ごみ堆肥化設備
ウチンクと都市アクアポニックスで発生する生ごみを堆肥化し、ゴミの減量化に取り組みます。堆肥はアクアポニックスにて利用し、生ごみを再資源化した野菜の生産を実施します。
■Farm To Table
ウチンクのお客様は、実際に環境への負担が少ない方法で野菜が育っている様子を見ることができます。さらにその日に収穫された野菜が料理として提供され、おいしく食べていただくことができます。アクアポニックスで生産された野菜は雑味がなく葉が柔らかいので、生のまま食べやすいことが特徴です。店舗では生産状況によっては野菜を購入することもできます
■なぜ、小豆島でやろうと思ったのか
小豆島は人口26,215人(2021年9月現在)の香川県の離島ながら瀬戸内国際芸術際というアートイベントや国内唯一のオリーブオイルの生産地、100年以上続く木桶醤油の町という豊かな食産業の歴史と文化を持っています。人びとの生活地でありながらも年間100万人が訪れる観光地(2018年)であるこの土地の魅力に魅了され、私たちはここ小豆島で食を通した地域の人びととの交流を生み出し生ごみ堆肥化設備と野菜の自産自消ができる「都市型アクアポニックス農法」の実用化を始めます。
■今後の展開
FOOD STORY PROJECT、ウチンク、大竹の三者は都市型アクアポニックス農法を活用することで、飲食店の自産自消と島内外の交流拠点となる取り組みを実施していきます。また今後の展開として、地域の生活者から出る生ごみを回収し、できた堆肥を小豆島内の農業生産者へ提供するコミュニティコンポストとしての運用、生産された野菜を使用した新たな食体験の開発等、食を起点とした環境問題への取り組みと地域活性化に取り組んでいきます。
ウチンクからメッセージ
「食を通して人と人をつなぎ、地域活性の輪を小豆島全体に広げていく」ことを目標に「キッチンUCHINKU」をオープンし、これまで地元企業とコラボレーションした商品開発やイベントなどさまざまな企画を実施してきました。いま新たに生ごみの再生と都市アクアポニックス農法を取り入れ、「食材を仕入れ、調理し、提供する」という一方通行の消費から地域資源を循環させる飲食店へと転換することで、地域の活性化により貢献できると考えています。この取組みを通して店のある内海地区から、「食」をきっかけとした環境の輪を発信し、人と人の輪をさらに広げていきたいです。
◆応援者のコメント(各200文字)
小豆島オーガニック農園
HOMEMAKERS/三村 拓洋様
http://homemakers.jp/
”生ゴミから野菜が出来る、コトはそう簡単ではないんだろうけど、僕の憧れのタイムマシーン、『デロリアン』にも似たこの「都市型アクアポニックス農法」にワクワクしている。
ゴミを減らさなきゃ、っていう意識はもはや世界共通だけど、いざゴミを減らす努力は大変だ。でも誰かにとってのゴミが、誰かにとっては使えるもだったとしたら、そんな組み合わせを見つけることは、エコでクリエィティブだと思う。
僕は農家なので、生ゴミを資源にして、野菜を作るプロセス自体にも興味があるし、何よりどんな味がするんだろうって思う。
早くウチンクの西本シェフが作る、アクアポニックス農法で育てた野菜のサラダを食べてみたい!野菜を育てるという同じ地平に立つ者として、大竹くんの事業をリスペクトを持って応援します。また今度見学に行くから野菜の栽培について話そうね。”
小豆島NPO法人トティエ 事務局長/大塚 一歩様
”地元・移住の方問わず、チャレンジしている人・チャレンジしようと移り住んでくる方の多さは、地方の活性化においてとても大事なことです。また、受け皿となる地域側が応援するということも大切で、小豆島はそういった面でも「熱い」地域だと思います。
島から社会課題を解決できるようなアイデアが生まれ、発信していくことを本当に楽しみにしています!”
シェフ/藤田 承紀様
”アクアポニクスは、最高です!!
野菜と魚を一緒に育てられるだけでなく、空気と心も癒してくれるという、素晴らしいシステム。環境の教育にもなります。
僕も1年間実際にアクアポニックスに取り組みました。180cmの特大サイズで導入した場所ではホンモロコ(魚)を数百匹放流。野菜コンテナではハーブに野菜にバナナまで栽培!
クレソンは、無限に育ち食べるのが間に合わないほどに!
ホンモロコはアンチョビにし、子供が来た時には小さな釣竿で釣りをしてもらう事も。
前菜にはエディブルフラワーを、窯焼きピッツァにはちぎりたてのハーブを乗せ、クレソンはサラダにピッツァにメインに大活躍。
もっともっとたくさんの人に知ってもらいたいです!”
◆株式会社FOODSTORYPROJECTについて
東京と小豆島を拠点に食に関わる企画・商品開発や店舗開発を行う。
管理栄養士・調理師・パティシェ・フードディレクターなど食の専門家が集まるプロジェクトチームとして活動している。東京での店舗開発や年間50社以上へのオフィスケータリング、各地域での特産品商品の開発の経験を通して「食を通したまちのコミュニケーションづくり」の新たな展開に向けて今回のプロジェクトを始動。
代表・大庭竹の想い
”私自身も料理人だった経験があり、シェフにも地域にいる方にも喜んでいただける形で都市型アクアポニックスの普及に取り組んでいきたいです。今回のプロジェクトを通して飲食店の生ゴミを活用し新たな野菜の生産に繋げていける循環を実現していきます。アクアポニックスで野菜と魚が成長していく姿をぜひ多くの人に見ていただきたいと思います。”
◆キッチンUCHINKU 西本 真シェフについて
想像を創造する料理人。京都府出身。高校卒業後、京都、大阪等各地のホテル、レストランにて勤務。オーガニック・ヴィーガン料理の開発、複数店舗のマネジメントに取組む。DEAN&DELUCAに入社。京都店、大阪店にてレストラン部門の料理長を務める。2017年より小豆島に移住し「キッチンUCHINKU」をオープン。生産者と直接対話し、小豆島の伝統ある食文化と、四季折々の旬の食材を一皿に落とし込んだ料理を提供している。
香川県小豆郡小豆島町安田甲235-6
instagram:https://www.instagram.com/kitchen_uchinku_shodoshima/
Webサイト:https://kitchen-uchinku.com/
◆大竹洋平について
Aquaponics Design Lab.を主宰。持続可能な食料生産方法を探す中でアクアポニックスと出会い、自宅の水槽でアクアポニックスに取組み始める。その魅力と可能性に注目し、 2018年アメリカへ渡り、Ili’ili Farms、HATponicsにてトレーニングを受ける。 小豆島にて都市食料生産をコンセプトとしたアクアポニックスツールの開発を手掛けながら、導入のコンサルティング、設計、設置サービスを提供している。2021年より小豆島へ移住。