土曜日, 4月 27, 2024
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株式会社JTB総合研究所・Cint Japan株式会社 共同調査「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」

訪日旅行者の約8割が、旅行日数や旅行形態に関わらず、旅マエに旅程をほぼ決定。旅先でしたいことは、アジアの旅行者は「身の回りで話題になっていること」、欧米の旅行者は「海外で話題になっていること」にそれぞれ惹かれる。旅先として選ばれるためには、旅行者の特性に応じた「旅マエ」の情報提供がカギ

【訪日旅行者(13か国)の旅行に関する情報収集や行動パターン】

・訪日旅行者の約8割が、旅行日数や旅行形態に関わらず、「旅マエ」に旅程をほぼ決定

・旅先でしたいことに関し、アジアの旅行者は自国内や家族、友人など身の回りで話題になっていることに惹かれ、欧米の旅行者は海外で話題になっていることに惹かれる傾向。旅先として選ばれるためには、旅行者の特性に応じた「旅マエ」における情報提供がカギ

・日本国内での移動パターンTOP3は「首都圏滞在型」、「近畿滞在型」、「首都圏⇒近畿⇒首都圏」

・タイや台湾の旅行者は「北海道滞在型」、韓国は「九州滞在型」、インドは東北や中部など、比較的幅広い場所を訪問する旅行者も多い傾向

・旅ナカの情報収集は、序盤は、まず「旅行先での生活を整えること」、中盤は「短時間の体験」、終盤は「土産物の購入場所」を探す

【持続可能性に関する意識】

・旅行先で最も実践している環境保護活動は「食品ロスの削減」。さらなる促進に向けては、提供形態の選択肢を増やし、個々の旅行者のニーズに応じて選べるようにすることが重要

・持続可能な観光のために今後気をつけたいことは、EV車の利用や環境負荷が高い交通手段を使わないこと。宿泊施設や旅行商品もSDGsや環境保全に取り組んでいるかどうかで選ばれる

株式会社JTB総合研究所・Cint Japan株式会社 共同調査「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」のサブ画像1

 株式会社JTB総合研究所(本社:東京都品川区、代表取締役社長執行役員 風間欣人、以下JTB総合研究所とCint Japan株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:カリーヌ・パルーシー(以下Cint))は、共同調査「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」の結果を発表しました。今回の調査では、旅行者を取り巻く時間の流れによって生じる情報収集や行動パターンの変化、持続可能性に関する意識に着目し、誘致のためのヒントを探りました。 

 調査対象とした13か国は、それぞれアジア、欧米の地域別に訪日旅行者数が多い国を選定し、調査回答者は、Cintの「Insight Exchange(https://jp.cint.com/consumer-insights-exchange )サンプル・マーケットプレイス」から参加いただきました。Insight Exchangeサンプル・マーケットプレイスは、インターネット調査のための世界最大の消費者ネットワークで、150カ国以上、3億人以上の回答者が参加しています。

【調査概要】

調査手法:インターネットアンケート調査

調査期間:2023 年 9月7日(木)~9 月19日(火)

対象者:計13か国(5991名) 韓国(471)、台湾(457)、香港(463)、中国(524)、タイ(435)、シンガポール(445)、ベトナム(459)、インド(482)、イギリス(447)、フランス(446)、ドイツ(438)、アメリカ(473)、オーストラリア(451)に居住する18~79歳の男女/過去1年以内に海外旅行経験のある人(うち訪日経験がある人を含む)

【調査結果詳細】

 訪日旅行者は、日本を訪れる前にどの程度、日本国内での旅程の計画を立てているのでしょうか?旅ナカ(日本訪問後)に触れた情報で、旅行の予定を変えることはあるのでしょうか?旅の序盤~終盤、あるいは、1日の中でも朝~夜にかけて、行動や必要な情報は変わるのでしょうか?そんな疑問から、旅の中での時間の流れに注目し、調査を実施しました。

〇訪日旅行者の約8割が、旅行日数や旅行形態に関わらず、「旅マエ」に旅程をほぼ決定

 対象とした13か国の旅行者全体でみると、「ほぼすべて出発前に決めていた(40.1%)」、「大体決めていた(41.2%)」合わせて81.3%が、旅マエに旅程を概ね決めていることがわかりました。また、旅行日数が長いほど、旅程の決定割合は下がる傾向にはあるものの、概ね決めている割合は31日以上でも約7割弱で、旅行日数による違いは、あまり大きくありませんでした(図1)。旅行形態別では、ツアーを利用しない個人の旅行者でも、82.9%となり、むしろ「ホテル+交通手段のみのパッケージツアー」の利用者よりも、きっちりと旅程を組み立てている様子がうかがえます(図2)。

 訪問先として、しっかりと旅程の中に組み入れてもらうためには、旅行に出発する前の計画段階にいかに情報を伝えることができるか、ということの重要性が改めてわかりました。

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〇旅行先でしたいことに関し、アジアの旅行者は「身の回りで話題になっていること」、欧米の旅行者は「海外で話題になっていること」に惹かれる傾向。旅行先として選ばれるためには、旅行者の特性に応じた「旅マエ」における情報提供がカギ

 次に、「旅行先でしたいこと」について、海外での情報を重視するのか、身の回りの情報を重視するのか(海外志向vs身近志向)、その場所を体験したいのか、土産物を買ったり食べたりしたいのか(コト志向vsモノ志向)を組み合わせ、意識を聞きました。国・地域別にみると、比較的、欧米の旅行者は「海外で話題になっているモノ」、アジアの旅行者は「身近で話題のコト」に惹かれる傾向があるようです(図3)。例えば、身近なところで話題になっているコトに惹かれるアジアの旅行者に対しては、SNSなどで普段からやり取りしている、あるいはフォローしている人からの発信、海外で話題になっているモノに惹かれる欧米の旅行者には、海外のメディアなどを通じた土産物や地産品の紹介など、それぞれの国や地域の特性に合わせた旅マエの発信が効果的かもしれません。


〇日本国内での移動・滞在パターンTOP3は「首都圏滞在型」、「近畿滞在型」、「首都圏⇒近畿⇒首都圏」

タイや台湾の旅行者は「北海道滞在型」、韓国は「九州滞在型」、インドは東北や中部など、比較的幅広い場所を訪問する旅行者も多い傾向

 続いて、日本国内では、どのような移動・滞在パターンが多いのでしょうか。序盤・中盤・終盤の3つの組み合わせのうち、最も多かったのは、首都圏にずっと滞在する「首都圏滞在型」の13.7%、次いで「近畿滞在型」の8.1%でした(表1)。国や地域別にみると、タイや台湾の旅行者は「北海道滞在型」、韓国は物理的に近いこともあり、「九州滞在型」が多い傾向でした。インドは東北や中部なども訪れています。また以前は、中国からの旅行者は、いわゆるゴールデンルート(首都圏⇔中部⇔近畿)を旅行しているイメージがありますが、今回の調査結果では、他の国と比べて訪問する地域に偏りが少なく、万遍なく訪れている様子がみられました(表2)。

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〇旅ナカの情報収集は、序盤は、まず「旅行先での生活を整えること」、中盤は「短時間の体験」、終盤は「土産物の購入場所」情報を探す

 旅ナカで必要とする情報は、旅の序盤から行程が進むにつれ、変化するのでしょうか。調査結果をみると、旅の序盤には、「朝食を食べる場所」、「ランチを食べる場所」、「夕飯を食べる場所」、「飲み物や軽食など日用品を購入する場所」、「滞在場所から徒歩圏内で行ける場所」について調べています。まずは、旅行先での生活を整えたい、という意識が垣間見られます。

 旅行の中盤に差し掛かると、少し余裕が出るのか、「スポーツ観戦やイベントなどの参加」、「数時間程度で体験できる現地ツアー」、「滞在場所から3時間程度以内で行ける場所」、といった数時間で体験できることの情報を探しています。
  旅の終盤では、「土産物を購入する場所」、改めて「食事をする場所」や「滞在している場所から飛行機で移動する範囲」の情報を探す傾向があるようです。「飛行機で移動する範囲」については、旅の終盤であることを前提とすると、滞在場所から帰国するための空港の近くで軽く訪問できる場所を知りたいと考えていることが推察されます(表3)。

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〇旅行先で最も実践している環境保護活動は「食品ロスの削減」。食品ロスのさらなる促進に向けては、提供形態の選択肢を増やし、個々の旅行者のニーズに応じて選べるようにすることが重要

 訪日旅行者全体として、「日常生活、旅行中どちらもできている」ことの1位は、「食品ロスの削減」で、「テレビ・照明等のこまめな消灯」、「節水への取り組み」が続きました。一方、最もできていないことは、「スプーン、フォーク、箸など自分で使うカトラリーを持参する」でした。 「食品ロスの削減」について、日常生活でできているのに、旅行中にできない理由としてあがったのは、「提供される食事の量などが選べない」でした(図4)。旅館などでは、多くの料理でおもてなしの心を表すこともありますが、個々の旅行者のニーズに応じて、食事量を選べるようにする、好きなものだけを選べるブッフェ、アレルギーやヴィーガン対応などの選択肢を用意することも必要だと考えられます。

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図 4 日常生活で実践していることを、旅行中に実践しない理由(食品ロスの削減)

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〇持続可能な観光のために今後気をつけたいことは、「EV車の利用」や「環境負荷が高い交通手段を使わないこと」。宿泊施設や旅行商品もSDGsや環境保全に取り組んでいるかどうかで選ばれる

 持続可能な観光のために気をつけたいこととして、現在意識的に実践していることは、「歯ブラシ・ブラシ・化粧品はなるべく持参する(41.5%)」でした。最も実践できていないことでは「カトラリー」が1位となったことと対照的な結果は興味深いところです。

 また、現在は実施していないが、今後実施意向が高いと考えられる項目(意識的に実践していることよりも、これから実践したいこととの割合の方が高い項目)をピックアップしてみると、「レンタカーはEVやハイブリッドを指定する」、「二酸化炭素を排出する自動車や飛行機での移動の取りやめ」、「環境保全に取り組む宿泊・観光施設等を利用するツアーの選択」があがりました(表5)。旅行中にも環境保護への意識が高まる中で、移動手段や宿泊施設、ツアー等が選ばれる基準として、今後はこれまで以上に環境保護への取り組みが求められそうです。

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Cint AB / Cint Japan株式会社について

リサーチテクノロジーのパイオニアであるCintは、グローバルアンケートパネルネットワークを介しより早く消費者インサイトの取得が可能なリサーチプラットフォームを構築しています。

Cintのリサーチプラットフォームは、事業戦略の策定、デジタル広告効果測定など、高い精度が求められるリサーチに活用されています。Cintが持つグローバルアンケートパネルネットワークには、自身の意見、行動習慣、行動を起こすきっかけや動機などインサイトを共有することに同意している、150カ国以上約3億人超の調査協力者が参加しており、消費者インサイトを必要とするすべてのお客様のニーズにお応えします。

Nasdaq Stockholm (STO: CINT)に上場しているCint Group AB は、ストックホルム(本社)、ロンドン、ニューヨーク、ニューオーリンズ、シンガポール、グルガオン、シドニー、東京などに拠点を設け1000人以上の従業員を擁しています。

【本社】

社名 : Cint AB

代表者: ジャイルズ・パーマー/Giles Palmer

所在地: Luntmakargatan 18, 1tr 111 37 Stockholm Sweden

設立 : 1999年

URL: https://www.cint.com/

【日本支社】

社名 : Cint Japan株式会社

マネージングディレクター : ニコラス・アントラム/Nicholas Antram

所在地: 〒151-0053 東京都渋谷区代々木3‐23‐4 VORTⅡ西新宿9階

設立 : 2011年

URL : https://jp.cint.com/


株式会社JTB総合研究所について

株式会社JTB総合研究所は、2012年、株式会社JTBの創立100周年を機に、ツーリズムを通じ社会や地域の課題解決への貢献を目指してスタートしました。調査研究、コンサルティング、観光教育の事業を柱に、ツーリズムの枠組みにとらわれない新しい時代のシンクタンクとして、地域や企業の発展に貢献すべく、取り組みを進めています。

社名 :株式会社JTB総合研究所

代表取締役社長執行役員 風間欣人 

所在地:〒140 -0002東京都品川区東品川2-3-14 東京フロントテラス7F

設立 : 2001年6月21日 (2012年6月1日より、JTB総合研究所に社名変更)

URL : www.tourism.jp


お問い合わせ

Cint Japan株式会社:

問い合わせフォーム: https://jp.cint.com/start

株式会社JTB総合研究所:

問い合わせフォーム: https://www.tourism.jp/contact/

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